そのまま箱に入れていた遺品を整理し始める。
私の家がある地域には海の前に7mの堤防が建てられ、
そこから少し離れて4mの高さがある道路が作られるそうだ。
堤防と道路の間に人は住んではならない。
特に行政が引き取ってくれるわけでもない。
ニュースで言っていたとおり、「死に土地」になる。
私の家やビニールハウスがあったところも道路は
「死に土地」になることがわかった。
震災から一ヶ月経った4月のこと
「被災地の復興・再生に真に役立つものとして義捐金40億円を
送られたら使い道をどうしますか」
と聞かれた。
その時は仮埋葬からお墓に移してあげることや、
お葬式ができない人のための費用のことを考えていた。
仮埋葬から掘り起こすのに重機はいるし、スコップで掘る人員もいる。
今は、住まいが死に土地になってしまった人の住居だろうか。
お盆に帰ったときに会った近所の人に
父は「また戻ってきますから」と言うと
近所の人には「え?戻ってくるの?」と返された。
その土地から少しでも離れてしまうと、
これまであった関係もくずれていく。
先日、普段は東京に住んでいる同郷の方と会った。
その方の実家も津波の被害を受けて、ご家族は仮設住宅にいるらしい。
お互いの話をしていて涙が出てきた。
他の人はびっくりして
「普段元気そうにしていたから(大丈夫だと思っていた)」と
言っていたけれど、
自分ではコントロールができていない。
見えない穴に落ち込んでいく。
街中は回復しつつある。
チャリティイベントと、気持ちが剥離している。
40億円があっても見えない穴は埋まらないだろうなと思いつつ、
この先のことを考える。
2011年10月9日